ディリクレのディオファントス近似定理

ディリクレのディオファントス近似定理(ディリクレのディオファントスきんじていり)は、ディリクレが証明した実数有理数による近似についての定理で、単にディリクレの定理と呼ばれることもある。

ディリクレのディオファントス近似定理は次のような定理である。

任意の実数 α {\displaystyle \alpha } 1 {\displaystyle 1} より大きい任意の自然数 N {\displaystyle N} に対し、分母 N {\displaystyle N} 以下の自然数 q {\displaystyle q} であるような α {\displaystyle \alpha } の近似分数 p q {\displaystyle {\frac {p}{q}}} で、 | α p q | < 1 q N {\displaystyle \left|\alpha -{\frac {p}{q}}\right|<{\frac {1}{qN}}} を満たすものが存在する。

この定理の証明は鳩の巣原理による。

場合によっては、この定理から直ちに導かれる次の結果を指すこともある。

任意の無理数 β {\displaystyle \beta } に対し、 0 < | β p q | < 1 q 2 {\displaystyle 0<\left|\beta -{\frac {p}{q}}\right|<{\frac {1}{q^{2}}}} を満たす無限に多くの有理数 p q {\displaystyle {\frac {p}{q}}} が存在する。

この系は、トゥエ・ジーゲル・ロスの定理が、代数的数の有理数での近似の下界は 2 を超えて 2 + ε への改善はできないという意味で、最良であることを示している。

関連項目

参考文献

  • 塩川宇賢 『無理数と超越数』 森北出版 1999年 ISBN 4-627-06091-2
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