小椅子の聖母

『小椅子の聖母』
イタリア語: Madonna della Seggiola
作者ラファエロ・サンティ
製作年1513年 - 1514年頃
種類板に油彩
寸法71 cm × 71 cm (28 in × 28 in)
所蔵ピッティ宮殿パラティーナ美術館[1]フィレンツェ

小椅子の聖母』(こいすのせいぼ、: Madonna della Seggiola)は、盛期ルネサンスの画家ラファエロ・サンティが、1513年から1514年ごろに描いた絵画幼児キリストを抱きしめる聖母マリアと、2人を敬虔な表情で見つめる幼児洗礼者聖ヨハネが描かれている。

『小椅子の聖母』はラファエロのキャリア後期にあたるいわゆる「ローマ時代」に描かれた作品で[2]、キャリア中期の「フィレンツェ時代」に同様のモチーフで描かれた厳格な様式美の作品とは、まったく異なる作風の絵画となっている。また、暖色系の色使いはティツィアーノ(1488年/1490年 - 1576年)や、当時のラファエロの競争相手だったセバスティアーノ・デル・ピオンボからの影響の可能性がある。

イタリアの医学者でモンテッソーリ教育で知られるマリア・モンテッソーリは、この『小椅子の聖母』を「(マリアの)母性に対する(ヨハネの)親愛の情」の象徴として、世界中の「子供の家」 (Casa dei bambini) に飾られることを願うとしている[3]

19世紀新古典主義のフランス人画家ドミニク・アングルはラファエロを非常に高く評価した芸術家である。自身の作品である『子供と遊ぶアンリ4世』と『ラファエロとフォルナリーナ』の背景の壁にこの『小椅子の聖母』を描いているほか、『リヴィエール氏の肖像』のテーブルに置かれた紙、『玉座のナポレオン』の絨毯にもデザイン化された『小椅子の聖母』を描いている。

出典

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  1. ^ 『欲望の美術史』 2013, p. 151.
  2. ^ 『NHK世界美術館紀行』 2005, p. 61.
  3. ^ Montessori, Maria, The Montessori Method (Schocken Books Inc., New York, 1964) p. 82.

参考文献

  • 宮下規久朗『欲望の美術史』光文社、2013年。ISBN 978-4-334-03745-1。 
  • NHK「世界美術館紀行」取材班編『NHK世界美術館紀行 3 ウフィツィ美術館 パラティーナ美術館 ボルゲーゼ美術館』日本放送出版協会、2005年。ISBN 978-4-14-081040-8。 
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初期の作品
  • 『聖セバスティアヌス』(1501年-1502年)
  • ソリーの聖母』(1500年–1502年頃)
  • モンドの磔刑』(1502年-1503年)
  • 本を持つ聖母子』(1502年-1503年)
  • 『聖母戴冠』(1502年-1504年)
  • 『若い男の肖像』(1503年-1504年)
  • コネスタビレの聖母』(1504年頃)
  • 騎士の夢』(1504年頃)
  • 『聖母の結婚』(1504年)
  • 『三美神』(1504年–1505年)
  • 『コロンナの祭壇画』(1504年-1505年頃)
  • 『聖ゲオルギウスと竜』(1504年-1505年頃)
  • 『聖ゲオルギウスと竜』(1506年頃)
  • 聖ミカエルと竜』(1503年-1505年頃)
フィレンツェ時代
ローマ時代


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