授権条項

授権条項(じゅけんじょうこう、英語: Enabling Clause)は、1979年に終了した関税及び貿易に関する一般協定(GATT)の東京ラウンド交渉において、締約国団の決定として採択された「異なるかつ一層有利な待遇並びに相互主義及び開発途上国のより十分な参加」[1]のことである。

1970年代初めから実施された一般特恵関税制度は、GATTの最恵国待遇原則に反するものであったため、1971年6月25日のGATT締約国団の決定[2]としてGATT25条6項に基づく義務免除(ウェーバー)として実施された。これは10年間の期限付きであったが、これを永続化したものが「授権条項」となる。

内容は、GATT第1条にかかわらず開発途上国に対し、より優遇な待遇(特恵関税)を適用することを認め、さらに開発途上国の貿易協定についてGATT24条の厳格な要件を満たすことなく認めるものである。この授権条項はWTO協定付属書1Aの1994年のGATTの一部(1(b)(IV)の(iv) その他千九百四十七年のGATTの締約国団が行った決定 に該当する)となっている。

授権条項については、GATT第24条との関係について明白に触れていないため授権条項による地域貿易協定に対する規律の適用関係が不明確であることが、WTO体制の形骸化を招きうる問題となっているとの指摘」[3]があり、ドーハラウンドにおいて検討がされているがあまり進展していない[3]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ WTO HP
  2. ^ GATT文書18S/24
  3. ^ a b 例えば、経済産業省HP 政策について 政策一覧 対外経済 通商政策 WTO 地域貿易協定
条約

世界貿易機関を設立するマラケシュ協定
附属書 1A:物品の貿易に関する多角的協定 - (A)1994年のGATT - (B)農業協定 - (C)SPS協定 - (D)繊維協定 - (E)TBT協定 - (F)TRIMs協定 - (G)アンチ・ダンピング協定 - (H)関税評価協定 - (I)PSI協定 - (J)原産地協定 - (K)ライセンシング協定 - (L)補助金協定 - (M)漁業補助金に関する協定- (N) セーフガードに関する協定- (O)貿易の円滑化に関する協定
附属書 1B:サービスの貿易に関する一般協定(GATS)
附属書 1C:知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)
附属書 2:紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(DSU)
附属書 3:貿易政策審査制度(TPRM)
附属書 4:(A)民間航空機貿易に関する協定 - (B)政府調達協定
過去に附属書4の協定だったが、失効し、附属書4から削除されたもの:(C)国際酪農品協定 - (D)国際牛肉協定

ラウンド
事務局長
用語