標津湿原

標津湿原付近の空中写真(1978年撮影)
画像左手の下方から上方(南北)へ蛇行しながら流れるポー川沿いが標津湿原である。画像下方の線路は、現在では廃線となっている標津線である。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

標津湿原(しべつしつげん、Shibetsu Marsh)は、北海道東部の根室振興局管内標津郡標津町にある湿原1979年(昭和54年)8月7日に80ヘクタールが国の天然記念物天然保護区域)に指定された。1996年(平成8年)及び2004年(平成16年)には追加指定が行われて指定範囲が拡大され、現在の指定面積は212ヘクタールとなっている[1][2][3]。また、2001年(平成13年)12月環境省によって選定された日本の重要湿地500にも選定されている[4]

概要

標津湿原の位置(北海道内)
標津湿原
標津湿原
標津湿原の位置

北海道東部、知床半島南側の付け根、根室海峡に面した標津町を流れるポー川の河口近くにある湿原で、役場のある町の中心部より、北へわずか3キロほどの場所に位置している。湿原の一帯はポー川下流域の自然蛇行をくりかえす標高5メートル未満の低地にあり、湿原全体の広さは約371ヘクタール、このうち天然記念物(天然保護区域)に指定されているのは212ヘクタールであるが、これは日本の天然記念物のうち「天然保護区域」として指定されたものの中で最小面積である。標津湿原の中心部付近は高層湿原である[5]

ポー川左岸の丘陵一帯には、縄文時代竪穴建物跡からなる集落遺跡である国の史跡標津遺跡群(伊茶仁カリカリウス遺跡)[6]があり、当湿原と併せて標津町により、「ポー川史跡自然公園」として管理・公開されている。

ミズゴケの丘塊

標津湿原を特徴付ける植生として、ミズゴケによる丘塊(ブルト)[† 1]、が挙げられる。通常の湿原で見られるミズゴケの群生形態と異なり、高さ30-50cm、直径3-5メートルのテーブル状の塊(ブルト)をつくり繁茂しており、その上をクロミノウグイスカグライソツツジガンコウランヒメシャクナゲツルコケモモなどの寒冷地高山植物が覆い、さらに千島列島樺太などが分布の中心となるチシマウスバスミレやエゾゴゼンタチバナなども自生しているなど、標津湿原は亜寒帯に近い環境で形成された湿原として貴重なものである。

出典・脚注

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注釈

  1. ^ ブルトとは、主に高緯度帯にある湿原において、植物遺骸の堆積によって形成される小規模な丘状になったものを指す特殊な地形用語である。
    別寒辺牛湿原の高層湿原域における高山蛾相及び昆虫相の解明厚岸町役場環境政策課、厚岸水鳥観察館

出典

  1. ^ 文化庁国指定文化財等データベース 標津湿原
  2. ^ 北海道道庁ホームページ、湿原の概要・標津湿原
  3. ^ 根室振興局 標津湿原(ポー川史跡自然公園)
  4. ^ 環境庁 日本の重要湿地500、№19標津湿原
  5. ^ 岡孝雄; 小野哲也 (2016年6月11日). “北海道東部,標津湿原の形成過程と高層湿原化の解明” (PDF). 日本地質学会北海道支部. 2017年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月9日閲覧。
  6. ^ 文化庁国指定文化財等データベース 標津遺跡群

参考文献

  • 加藤陸奥雄他編『日本の天然記念物』、講談社、1995年3月20日 第1刷 pp36-37 ISBN 4-06-180589-4

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、湿原に関連するメディアがあります。

外部リンク

  • 標津町 ポー川史跡自然公園
石狩空知後志管内
  • 雨竜沼湿原(恵岱岳湿原、群馬岳湿原などを含む)
  • 美唄湿原
  • 月ヶ湖湿原
  • 幌向湿原(東野幌湿原・越後沼湿原)
  • 旧長都沼
  • 石狩川流域湖沼群(宮島沼、袋地沼、手形沼、三日月沼、浦臼沼、浦臼新沼、茶志内沼など)
  • 石狩川河口
  • 千歳川
  • 篠路福移湿原
  • 後志山地湿原群(中山湿原、京極湿原、大蛇ヶ原湿原など)
  • ニセコ連山湿原群(神仙沼湿原、パンケ目国内湿原、鏡沼、ニセコ湯本温泉、五色温泉など)
  • 朱太川水系
  • 歌才湿原
  • 泊村盃地区地先沿岸
  • 渡島檜山管内
    • 静狩湿原
    • 大沼と周辺湿地(大沼、小沼、じゅんさい沼)
    • 横津岳湿原群(雲井沼湿原、前沼湿原、烏帽子沼湿原、アヤメ湿原など)
    • 汐首岬周辺沿岸
    • 函館湾周辺沿岸
    胆振日高管内
    • 襟裳岬周辺沿岸
    • 勇払原野湿原群(美々川、美々湿原、ウトナイ湖、トキサタマップ湿原、弁天沼、柏原東湿原、平木沼湖沼群朝日沼など)
    • 厚真水田および鵡川水田
    • 鵡川河口
    • ホロホロ湿原
    • 倶多楽湖
    • ヨコスト湿原
    • キウシト湿原
    上川留萌宗谷管内
    釧路根室管内
    十勝管内
    オホーツク管内

    座標: 北緯43度40分34秒 東経145度06分39秒 / 北緯43.67611度 東経145.11083度 / 43.67611; 145.11083

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