サムパーティ

サムパーティが猿の一行と出会う場面。

サムパーティSampāti, : सम्पाति[1])は、インド叙事詩ラーマーヤナ』に登場する巨大なの王。老齢の禿鷹で、ヴィンディヤ山の山頂に棲む。カシュヤパ仙とヴィナターの息子アルナ[2][3]シュエーニーの子で[2]ジャターユの兄[4][3][5]。透視の能力を持つ[6]

神話

兄弟の挑戦と太陽

『ラーマーヤナ』によると、かつてサムパーティとジャターユは、天に昇ってインドラ神を征服しようとした。しかし太陽に近づきすぎて、ジャターユがその熱で弱ったので、サムパーティは自分の翼の下にジャターユをかばった。そのためサムパーティの翼は燃えてしまい、ともに別々の場所に落下した。『マハーバーラタ』によるとジャターユとサムパーティはどちらが先に太陽神スーリヤの集会場に着くかを競ったが、サムパーティの翼は燃えて、ジャターユの翼は燃えなかったという[5]

サムパーティが落ちたのはヴィンディヤ山であり、死を決意したが、聖者ニシャーカラはいずれこの地にラーマ王子の使いが訪れるときがあり、そのときに再び翼が再生して力が回復するだろう、と予言したため、死を思いとどまった[7]

翼の再生

その後、ヴィンディヤ山にヴァナラ)の一行が現れたとき、サムパーティはこれを喰らおうとした。しかし彼らがジャターユの死を口にしたため、驚いて何者であるかを訪ねた。彼らは連れ去られたラーマの妃のシーターの捜索隊であると告げた。サムパーティは兄弟の死にひどく落ち込んだが、聖者の予言を思い出し、透視の力によって、シーターを連れ去ったのはラークシャーサの王ラーヴァナであり、その居城はランカー島にあることを教えた[7][8]。するとサムパーティの翼は予言通りに蘇り、新しい赤い羽毛に覆われ、サムパーティは天に飛翔した[7]

このサムパーティの教えによって、ハヌマーンは海原を飛び越えてランカーに忍び込んだ。

脚注

  1. ^ “Sampati, Sampāti, Saṃpāti: 14 definitions”. Wisdom Library. 2021年10月6日閲覧。
  2. ^ a b 阿部知二訳、p.135。
  3. ^ a b 『マハーバーラタ』3巻263章1行。
  4. ^ 阿部知二訳、p.240。
  5. ^ a b 『マハーバーラタ』3巻266章47行-49行。
  6. ^ 阿部知二訳、p.241。
  7. ^ a b c 阿部知二訳、p.239-242。
  8. ^ 『マハーバーラタ』3巻266章50行-55行。

参考文献

登場人物
イクシュヴァーク王家
ヴァナラ
ラークシャサ
鳥族
その他の登場人物
地名
挿話
派生文学
  • ラグ・ヴァンシャカーリダーサ作)
  • ラーヴァナヴァダ(ラーヴァナの殺戮, バッティ作)
  • マハーヴィーラチャリタ(大武勇の行状, バヴァブーティ作)
  • ウッタララーマチャリタ(ラーマ王の後日物語, バヴァブーティ作)
  • バーララーマーヤナ( ラージャシェーカラ作)
  • ラームチャリトマーナス(トゥルシーダース作)
  • ラーマキエン
  • 宝物集
関連項目
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